映画の推し事:ポケモン、たまごっち、コナン、ポムプリ 96年のコンテンツ大爆発を読み解く五つの視点
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2026年はゲーム「ポケットモンスター」誕生、アニメーション「名探偵コナン」放送開始、携帯育成ゲーム「たまごっち」とキャラクター「ポムポムプリン」発売から、30周年だという。
そんなエバーグリーンなコンテンツ群が生まれた、ビンテージイヤーの1996年とは、いったいどのような年だったのか。五つの視点でまとめてみた。
96年は、前年の超円高から一転、継続的な円安となって、バブル崩壊後の停滞から脱したかに見えた時期だ。前年の阪神大震災の衝撃も落ち着きつつあった。製造業にキャッシュフローの余剰が生まれ、設備投資も進むなど、国民が一息ついた年だったのだ。
RETAS!(Revolutionary Engineering Total Animation System=革新的総合アニメーション制作システム、後にRETAS STUDIOへと改称)である。これによってアナログのアニメーション制作全工程中「作画」「トレース」「彩色」「撮影」という仕上げ部分まで、デジタル通貫が確立される。
3年前に既にリリースされていたのだが、この年に初めて東映動画(現東映アニメーション)というメジャープロダクションに正式採用された。
同社は導入によって、さまざまな仕入れ項目の大幅なコストダウンを実現した。以降、アニメーション制作の有りようは劇的に変わっていく。
導入当初はアナログに追いつけない部分もあったが、それでも化学・光学領域を工程から完全にオミットすることができたのは画期的だった。
従来この領域にいたベテランたちは退場を余儀なくされ、それまではゲームへの利用が中心だったCGの導入がアニメーションにも進み、IT的な業態へと近づく契機となった。
さらに96年は、90年代の「次世代ゲーム機戦争」が過熱。セガサターン、プレイステーション、スーパーファミコンなどがシェア争いを展開し、「バイオハザード」や「サクラ大戦」など、現代まで続くコンテンツ群を派生させるキラーゲームが数多く登場した。
プラットフォームのシェア争いそのものがコンテンツの苗床となり、コンテンツが大爆発した“コンテンツ・カンブリア紀”だった。
94年に漫画連載が始まっていた「名探偵コナン」は、東京ムービー新社(現トムス・エンタテインメント)がアニメ化して放送開始。「ポケットモンスター」もオー・エル・エムが97年にアニメーションを制作する。両社ともこの前後から、デジタル通貫システムの導入を検討していた。
それまでの日本の製造業は、一言で言うと「たくみ」の技が珍重される世界だった。社会・経済環境が移り変わり、制作時間の制約を受ける中で、ベテランは経験と蓄積された技術で納期を守りつつ、作家性でクオリティーを上げていた。
そこには放送に堪えうる品質を確保した上で、クリエーターらしい世界観の深化やドラマツルギーの湧出(ゆうしゅつ)が見られた。作画が劣悪と言われる制作会社作品でも、脚本とキャラクター、演出によって人気を獲得できていた時代だった。
移り変わる現場事情や技術は言語化、マニュアル化し難く、多様な制作流派に共通の育成システムがあったわけでもなく、徒弟的環境下に育ったのが「たくみ」たちだったのだ。
しかし新しいソリューションから生まれ、「たくみ」のくびきから放たれた新世代クリエーター群の作家性は、デジタルの加勢を得て、漫画やゲームなどの“原作通りの演出”“原作画の再現”“原作商品のシズル感”を拡大解釈することに振り向けられていく。
特にテレビでは、常に同じテンションと温度を保ちつつ、決して飽きられない定性的な作品の量産が第一義であり、生産ラインを過不足なく順当に回せる「手だれ」が求められる(1話完結型テレビシリーズの劇場版ではキャラクターは成長するが、続作公開時にはリセットされている)。
これはマーチャンダイジングビジネスの市場安定に大きく貢献するものだが、アナログ時代からの観客たちは、やはりクリエーターが発する世界観や情熱を見たいものである。
次世代ゲーム機戦争とは異なる文脈で作られた「ポケットモンスター」「たまごっち」にも、ハードであるゲーム機は大きく影響している。当時のゲーム機は、液晶画面でドット画を動かす機能しかなかった。
ドット画を補完する目的で描かれた、パッケージやムック本のキャラクター画が体系化、展開され、ゲームを凌駕(りょうが)していく。「ポケットモンスター」が登場翌年のアニメ化という最短の道をたどれたのは、このためだ。
「たまごっち」はゲーム商品そのものだけではなく、ゲーム内で描かれるキャラクターにフォーカスしたグッズや文房具、菓子やカードまでが商品展開され、現在も再々々トレンド化して“平成女児ブーム現象”の発火点ともなる。
“1996年コンテンツ・カンブリア紀”の特徴として、常識として忌避、倦厭(けんえん)されていたものを表現している点が挙げられるだろう。
「たまごっち」の“死”、「ポムポムプリン」の“おしりのしるし”は、それまでの愛玩系コンテンツでは「描いてはいけないもの」だった。さらに言えば、「ポケットモンスター」「たまごっち」は命が携帯され、「コナン」では殺人現場に児童が立ち会った。
こじつけっぽくはあるが、「バイオハザード」の射撃対象は“ヒトではなく元ヒト”なので、射殺を「非殺人」として倫理的にクリアしている。
「サクラ大戦」は“大正ロマン的SF恋愛歌劇”という体裁で、地下文化的だった「恋愛アドベンチャー」と「シミュレーションRPG」、そして「アクション」という別個のジャンルを結合させた、前例のないキメラコンテンツであった。
どれもそれまでのコンテンツシーンでは、気配を感じさせつつも声に出すのははばかられるような、水面下的要素だったものが、日の当たる場所でスタンダードとなった瞬間だった。
かつて在籍していた会社で「ポケモン」の劇場版事業を担当していた時のことである。先行試写会イベント時に部長クラスの大先輩がニンテンドーDSを銀幕に向け、何か操作をしていた。
「幻のポケモン、
📌 Kaynak
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