映画の推し事:マンドー&グローグーの長い旅と深い絆 スター・ウォーズ新作を解説
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7年ぶりとなる「スター・ウォーズ」シリーズの劇場最新作、「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」が快調に飛ばしている。
日本では5月22日に公開され、初週の成績は「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」「プラダを着た悪魔2」を抜いて1位に輝き、洋画人気低迷の中で2年11カ月ぶりに洋画が国内映画ランキングのトップ3を独占。6日間の興行収入は10億1554万4400円、観客動員数は60万4800人。国内映画ランキング3週連続1位を飾った。
ディズニープラスのオリジナルドラマシリーズ「マンダロリアン」から続く本作、あらためて登場人物と物語の背景をおさらいしてみた。
マンダロリアンの原形は、1980年公開の「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」に登場した、賞金稼ぎのボバ・フェットまでさかのぼる。
マンダロリアンは惑星マンダロアを中心に形成された戦士集団で、ベスカー鋼で作られたアーマーをまとい、今作の主人公が属するグループは他人に素顔を見せてはいけないなど、厳しいおきての下で組織されている。
ボバ・フェット自身はただの賞金稼ぎだが、その特徴的なアーマーを着けた彼が先に作品に登場し、その後、マンダロリアン独自の歴史が掘り下げられていった。
最新映画版の舞台は、独裁的な銀河帝国崩壊後の銀河だ。「エピソード6/ジェダイの帰還」で帝国を破った新共和国が秩序ある再建を進める一方で、帝国の残党や犯罪組織が各地で影響力を示し、銀河はいまだに混沌(こんとん)としている。
そんな不安定な時代の中で、マンダロリアンのマンドーことディン・ジャリンとフォースの力を秘めた小さなグローグーが出会い、“賞金稼ぎ父子”として任務に就く姿を描いている。
今回の映画版で初めて見た人は、まずグローグーの愛らしさに目を奪われたことであろうが、この2人には歴史がある。グローグーは見た目通り、あの有名なヨーダと同種族で年齢は推定50歳前後だが、長命の種族ゆえにまだまだベビーである。
マンドーはもともと群れることを嫌う武骨な人間で、任務を果たすためには手段を選ばないタイプ。しかし、グローグーの愛らしさがマンドーの正義感を刺激したのか、依頼主である帝国残党がフォースの力を持つグローグーを研究材料にすることを知ったマンドーは、彼らを敵に回す覚悟でグローグーを救助し、ジェダイの元へ返すことを決意。こうして、2人のジェダイ探しの旅が始まるのだった。
その後、2人は旅を通して親子に近い絆を深めていくが、シーズン2でマンドーはグローグーをようやく見つけたジェダイの師に引き渡す。「手放すこと」もまた愛情であることを示す重要な局面となった。
しかもマンドーは、その際マンダロリアンのおきてを破ってヘルメットを脱ぎ、グローグーに素顔を見せた。これによりマンドーは一時的にマンダロリアンの資格を失うも、おきてよりグローグーを優先した象徴的な場面となった。
そして、それぞれにマンダロリアンの村で儀式を実行し、マンダロリアンとして認められた2人は、正式な親子として位置付けられ、グローグーはディン・グローグーという名を得た。
こうして、2人は時代劇の「子連れ狼」のような賞金稼ぎになり、銀河の外縁部で生き抜いてきた。映画版はこの先にある物語で、ハイパージャンプに目のない子供だったグローグーはマンドーの立派な相棒となり、片やマンドーもすっかり父親らしくなり、グローグーに全幅の信頼を置いている。
昨今の「スター・ウォーズ」シリーズは、ドラマでも師と弟子を描く「スター・ウォーズ:アソーカ」や、外の世界を知らなかった子供たちが惑星を飛び出す冒険譚(たん)「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」など、次世代への継承を感じさせるものが多いが、この「マンダロリアン・アンド・グローグー」もそこを大きく意識した作品だったのではないだろうか。
かつて、「スター・ウォーズ」創造者のジョージ・ルーカスは伝説的ジャーナリスト、ビル・モイヤーズとの対談で、「スター・ウォーズ」は人間の内側にある善と悪、そしてそのどちらを選ぶかを描く物語だと語っていた。さらに、宇宙の物語というより家族の問題を描く物語でもある、と。
その意味でマンドーとグローグーの物語は、アナキン・スカイウォーカーとその息子、ルーク以来続く、「スター・ウォーズ」の大きな主題、すなわち“光と闇”“支配と自由”、さらには“父と子”“再生”に連なっている。
77年に初めて劇場で「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」が公開されてから、49年。初期の熱狂を知らない人の方が多くなっている今、再び「スター・ウォーズ」の根底にある物語が刷新されているように感じる。
家族の問題は悪名高きジャバ・ザ・ハットについても同じで、映画版では裏社会の支配は一代限りではなく、ジャバ亡き後のハット家の系譜も描かれている。帝国崩壊後もルークの生まれ故郷であるタトゥイーンをはじめとする外縁部で、犯罪勢力として影響力を持ち続けていることが分かる。
「マンダロリアン・アンド・グローグー」を“おかわり視聴”するならば、こういった背景を今一度心に留めて見るとまた違った響き方をするかもしれない。そして、もし子供がいるならば、一緒に見に行くことで、善と悪とは何か、再生とは何かについての“問い”を共有する貴重な時間にもなりそうだ。(及川静)
📌 Kaynak
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