football life:木村元彦さん寄稿 W杯開幕に思う「あの2人なら何と言ったか」
サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会が開幕した。国際サッカー連盟(FIFA)は「世界を一つに」のメッセージをうたうが、開催国の米トランプ大統領は独善的な振る舞いで、世界の分断を深める。「オシムの言葉」などで知られるジャーナリスト、木村元彦さんは2人の名を挙げ、不条理な世界の現実に目を向けるよう呼びかける。(敬称略) オシムは言わずと知れた元日本代表監督。2003年にジェフ市原(現ジェフ千葉)の監督に就任後、日本サッカーに大きな革命を起こした。それまで残留争いの常連でもあったチームを瞬く間に強豪クラブに生まれ変わらせ、05年には、クラブに初のタイトル(ナビスコ杯)をもたらした。 結果以上に、多色のビブスを用いて鍛え上げたそのサッカーはあまりにセンセーショナルだった。選手が中盤から前線にかけて泉のように湧き出てくる「人もボールも動く」スタイルは、極めて先鋭的で、多くの指導者に影響を与えた。06年に請われて代表指揮官に就任するも翌年に脳梗塞(こうそく)で倒れて、志半ばにして故郷ボスニアに帰国した。 今西は、サンフレッチェ広島の総監督として、その慧眼(けいがん)を生かし、地方の無名選手を幾人も発掘しては、日の丸を背負うまでに育て上げた。代表的なのは、現在の日本代表監督である森保一である。 高校時代の森保は、テクニックもスピードも目立つところがなかったが、唯一、今西だけが、プレー中の視野の広さを見抜きスカウトに動いた。予定されていた採用枠は超えていたが、子会社に入社させて、選手登録を所属のマツダにするというウルトラCを用いてのリクルートだった。森保はその後、たゆまぬ努力を続けて代表選手に選ばれるまでに成長、指導者としても代表監督に上り詰めた。W杯でドイツ、スペインを破るに至った実績も今西との出会いがなければ、変わったものになっていたと本人も発言している。
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