縮小社会に生きる:「おかえり」で決めた移住 人口40人の島で始めたビール造り
人口減少や高齢化問題に直面し、縮小する地域社会。それを受け入れて力強く、しなやかに生きる人々の息づかいを記者がルポします。 「おかえり」とペンキで手書きされた看板と、その脇に並ぶ猫の顔を描いた手作りのブイが出迎える。どこからか猫が数匹やってきて、見慣れない人間を見張るかのように後をついてきた。 私が島を訪れたのは、2019年にクラフトビール醸造所「六島浜醸造所」を創業した井関竜平さん(42)に会うためだ。10年前に地域おこし協力隊員として島を訪れたのを機に移住し、地域をもり立てようと活動している。 自身は島の外からやってきたという遠慮もあり、いまだに島民から歓迎されていないように感じているという。「ずっと『インベーダー(侵入者)』だと思っているんです」 大阪で生まれ育ち、大学卒業後は食品卸会社の営業マンとして働き始めたが、数字に追われる日々に「これを一生続けていいのか」と悩んだ。 六島には曽祖父の家があり、幼いころは毎年、船で墓参りに訪れていた。宿泊せず大阪にとんぼ返りだったが、それでも都会とは違うゆったりとした時間が流れる居心地のいい場所だった。 当時の記憶が脳裏をよぎり、久々に六島に向かった。港に到着して愕然(がくぜん)とした。祭りは明日だというのに、辺りには誰もいない。「担ぎ手以前の問題だ……」 途方に暮れながら海辺を歩いていると、ドラム缶のたき火を囲む数人の島民に出会った。「どこの子や」と声を掛けられ、島で生まれ育った祖母の名前を出して「孫です」と伝えると、「おかえり」と古い冷蔵庫から取り出した冷えた発泡酒を手渡された。その一杯がたまらなく胸に染みた。
📌 Kaynak
Bu haber XML kaynağından derlenmiştir. Tamamı için orijinal habere gidin.
Orijinal haberi oku →