「あなたは誰?」「皇太子です」 即位後初めて広島へ、続く慰霊の旅
2025年のこの日、天皇、皇后両陛下は戦後80年にあたり、広島市を訪れ、原爆死没者慰霊碑に花を供えた。長く被爆者に心を寄せてきた天皇陛下。皇太子時代には、一人の被爆女性との印象深い交流があった。 この年、両陛下は4月に硫黄島、6月に沖縄、広島、7月にモンゴル、9月に長崎、10月に東京都慰霊堂と、先の大戦の足跡をたどる「慰霊と戦争の記憶の継承の旅」を続けた。 両陛下は19日午前に広島空港に到着し、午後に最初の訪問先として広島市の平和記念公園を訪れた。周囲で多くの市民が見守る中、34万4306人の死没者名簿が奉納されている慰霊碑の前へ。テッポウユリなどの花を供え、3回にわたり頭を下げた。 両陛下は続いて、公園のそばにある広島平和記念資料館へ。市街地の模型に原爆投下の様子が投影されるコーナーでは、お二人は焦土と化していく状況を見つめ、天皇陛下は真剣な表情を見せた。 この約30年前の1996年10月にも、皇太子ご夫妻だった両陛下は同じく資料館を訪れ、館内を視察した。当時館長だった原田浩さんは昨年5月、広島市の自宅で取材に応じ、視察時の様子を話してくれた。 館内には焼けただれた弁当箱や水筒が展示され、両陛下は身を乗り出すようにして見入ったという。「被爆者の方々はどのような苦しみを抱えたのでしょうか」。お二人の真剣なまなざしに、原田さんは「両親(上皇ご夫妻)から広島のことを聞き、準備して臨んだのだろう」と感じた。上皇ご夫妻は天皇、皇后だった1995年、戦後50年にあたって資料館を訪れ、この時も原田さんが案内した。 現在の天皇陛下は浩宮時代から繰り返し広島を訪れ、慰霊碑を計7回訪れた。1994年には皇太子妃だった皇后さまとそろって供花をし、侍従を通して、「平和の貴さに思いを致し、広島の歩んだ苦難の足跡を改めて心に深く留めていきたい」と思いを明かした。 天皇陛下は献血運動推進全国大会への出席などのため広島市を訪れ、広島赤十字・原爆病院に初めて足を運んだ。当時、看護副部長だった阿部直美さんが取材に応じ、入院患者とのやりとりを話してくれた。
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