テラ・クライシス:南鳥島沖レアアース、首相が産業規模での実証指示 実用化へ加速
気候変動や紛争など地球規模の課題が深刻化する一方で、協調して対処すべき国際社会の秩序は大きく揺らいでいます。新たな危機の時代を見つめます。 高市早苗首相は29日の総合海洋政策本部会合で、南鳥島(東京都小笠原村)沖でのレアアース(希土類)開発について、経済安全保障を念頭に産業規模での開発実証を速やかに進めるよう関係閣僚に指示した。2028年度以降としてきたレアアース生産の実用化に向け、支援を加速させる。 開発を巡っては、内閣府主導の研究チームが2月、東京都心から約1900キロ離れた南鳥島沖の海底からレアアースを含む泥の引き揚げに成功。27年度中に1日当たり最大350トンの採取を目標に掲げ、商業利用する場合の採算性を評価するとしている。 日本はレアアースのほぼ全てを輸入に頼る。そのうち6~7割を中国が占め、依存度低減や安定調達が重要課題となっている。高市首相は会合で、「採算性向上と精錬技術の開発」の必要性を掲げ、体制を整備する考えを示した。 政府は今夏にまとめる成長戦略に向けたロードマップ(工程表)で、レアアース泥など海底鉱物資源の「世界初の開発体制構築を目指す」として、40年度までに官民で9000億円を投資する方針を示している。 対象とする鉱物資源には、レアアース泥に加え、経済産業省などがハワイ沖など太平洋の公海で開発を進める、レアメタル(希少金属)を豊富に含む鉱物「マンガン団塊」も含めている。 公海の海底鉱物資源は「人類の共同の財産」で国連の国際海底機構(ISA)が管理している。政府は将来の商業採掘について、国際ルールに従って進める立場を示し、排他的経済水域(EEZ)についても、同水準の環境規制に向けて検討を進めている。 しかし、マンガン団塊については現時点で公海における商業掘削の国際ルールがなく、策定に向けてISAで議論されている。レアアース泥は研究目的の探査におけるルールも存在しておらず、日本の思惑通りに海底開発を進められるかは不透明だ。【荒木涼子】
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